2016年2月3日水曜日

剖検報告:老人において海産物摂取は脳内水銀濃度増加をもたらすが、認知症・脳梗塞病理所見減少をもたらす 但し、APOE ε4キャリアのみ

フィッシュオイル、魚油サプリメントでは効果認めてません・・・と、先に書いておこう


そして、やはり魚の摂取は脳内の水銀濃度増加に関わるということも・・・故に、小児以下ではマグロなんてたらふく食べさせるべきではない(回転寿司屋のテレビシーンで時に見かけるが、子供がマグロ食べる・・・親を含めた周囲の見識の低さを嘆きたくなる)




だが、老人においては、海産物摂取は直接脳内の水銀蓄積と関連あるものの、アルツハイマー病やマクロ脳梗塞予防効果が剖検で確認された



ただし個別感受性があるようで、APOE ε4キャリアのみに認知症予防効果認める
ここが重要なのに 要約では、付け足しのように書かれてる


 MedPageのタイトルの方がマッチする・・・
Seafood Appears Neuroprotective in APOE4 Carriers
No increase in brain pathology seen with higher mercury levels
http://www.medpagetoday.com/Neurology/AlzheimersDisease/55961

横断研究のため評価に限界があるが、今後、ApoE層別化戦略で認知症予防役立つだろうか?


Association of Seafood Consumption, Brain Mercury Level, and APOE ε4 Status With Brain Neuropathology in Older Adults 
Martha Clare Morris,  et. al.
JAMA. 2016;315(5):489-497. doi:10.1001/jama.2015.19451.
【序文】  シーフード食品消費が多くの健康ベネフィットのため推奨されているが、神経毒である水銀を含むことに懸念が存在する。

【目的】海産物摂取消費が、脳内水銀レベルと相関するか否か、俣、海産物摂取消費が脳の神経病理と関連するかどうかの検証目

【デザイン・セッティング・被検者】the Memory and Aging Project clinical neuropathological cohort study、2004-2013年における、死者横断解析。被検者はシカゴの退職コミュニティ・優良賃貸住宅居住者。研究は554名死亡被検者のうち剖検286名(51.6%)。
平均年齢(SD)は89.9(6.1)歳、女性 67%(193)、平均(SD)教育経験年数14.6(2.7)年間

【介入暴露】海産物摂取量評価:死亡前平均年数4.5年間の食事回数アンケートによる1回測定評価

【主要アウトカム・測定項目】 認知症関連病理は、アルツハイマー病、レビー小体、macro梗塞、micro梗塞。海産物食事摂取、n-3脂肪酸を食事回数アンケートにて死亡前年数年時評価
水銀・セレニウム組織濃度をinstrumental neutron activation analysis(中性子放射化分析 )にて測定

【結果】544名の被検者中286名剖検において、脳水銀濃度は1週あたりの海産物食事摂取量と相関  (ρ = 0.16; P =0 .02) 
年齢、性別、教育、総エネルギー摂取量補正モデルにて、海産物食事摂取量(1週あたり1meal以上)で、老人斑(neutric plaque)濃度を含むアルツハイマー病病理の少なさと有意相関 (β = −0.69 score units [95% CI, −1.34 to −0.04])、神経原線維濃縮体(neurofibrillary tangle)の重症度・広がりの少なさと有意相関 (β = −0.77 score units [95% CI, −1.52 to −0.02])、アルツハイマー病定義の神経病理所見の少なさと有意相関(β = −0.53 score units [95% CI, −0.96 to −0.10])  
しかし、アポリポ蛋白Eキャリア (APOE ε4) にのみの所見

α-リノレン酸 (18:3 n-3) の摂取レベル高値ほど、脳のmacro梗塞オッズ比低下  (3分位オッズ比  3 vs 1, 0.51 [95% CI, 0.27 to 0.94]) 
フィッシュオイル、魚油サプリメントは神経病理マーカーのいずれとも統計学的有意相関せず 
水銀濃度増加は脳の神経病理レベル増加と統計学的有意相関なし

【結論と知見】横断分析にて、中等度程度の海産物摂取量では、アルツハイマー型認知症神経病理所見減少と相関。海産物摂取は脳内水銀濃度増加と相関するが、これらのレベルは脳神経病理とは相関せず

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