2013年5月18日土曜日

DSM-5:アメリカ精神科協会出版利益至上主義がもたらした弊害 →精神疾患診断への信頼性危機増大

精神科疾患のバイブル発表される(た)が・・・

http://www.dsm5.org/Pages/Default.aspx
e.g. 
Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition (DSM-5(TM)) [Paperback]Desk Reference to the Diagnostic Criteria from DSM-5(TM) [Paperback]

かなりの批判がある。
http://www.cbc.ca/thecurrent/episode/2013/05/17/can-the-dsm-survive-the-barrage-of-criticism/


一般紙にも、DSM-5への批判があることが報道されている。

Ann. Int. Med. 誌に、信頼性への懸念論説が掲載されている。読めば、製薬メーカーからの間接的にしろ影響があり、DSMー5の出版利益目的のため他専門機関からの内容検討を無視した一方的時期尚早な発表など、普通に一般人にも疑念を生じる内容となっている。



精神科疾患への信頼性へ新たな危機
The New Crisis in Confidence in Psychiatric Diagnosis
Ann Intern Med. 1980;93(4):631-632.

客観的生物学的検査より、あいまいな主観的な判断にのみ依存する、精神疾患診断には広範な研究成果は影響を及ぼしてない。1970年代に精神か診断がいかに信頼性低く、不正確であるかが示された(Arch Gen Psychiatry. 1971;25:123-30.)。1980年に出版されたDSM-IIIは、多くの医学研究を刺激した。脳の仕組みの複雑故、他分野に比べて基礎医学から臨床医学へのtranslation困難な部分がある。(おそらく同一診断)グループ内のばらつき故に、(別診断)グループとの違いをうちけしてしまい、生物学的検査の知見が十分とは言えない部分がある。


診断インフレーション危機
Psychiatric diagnosis is facing a renewed crisis of confidence caused by diagnostic inflation. 

軽度の精神疾患と、シンプルに深刻なものとの明確な境界がなく、その境界は拡大の一方である。DSM-IIIがきっかけとなったことは確かで、軽症うつ、全般性不安、社会不安、単純恐怖、性的機能不全、睡眠障害などもはや重症といえない状況を診断として含むこととなった。

1994年、DSM-IVでは、この診断インフレーションに対する防御線をもうけようとした。しかしながら、このような配慮でも、マーケット市場主導型診断詐欺を防げなかった。20年間で注意欠陥障害は3倍、双極性障害は2倍、自閉症関連は20倍を超す勢いである。

DSMー5は、このリスクを無視し、正常との境界あいまいな状況でのいくつもの高頻度の診断を導入している。
Frances A. The new somatic symptom disorder in DSM-5 risks mislabeling many people as mentally ill. BMJ. 2013;346:f1580.

製薬メーカーが多くの疑陽性、不必要な治療を生み出し、マーケット利益のため、DSM定義を曖昧にし、概念をミスリードし、日々の生活問題まで未診断疾患と見なし、薬剤にその解決を見いだすようしむける詐欺

結果、医療資源不正分配となり、過剰診断、健常者(治療による有害性を受けるもの)にまで薬物を提供し、結果的に真の精神疾患患者の虐待となっている(真に医療が必要な対象者が医療資源へのアクセス減少)。重症うつ患者の1/3しか医療を受けておらず、増大する刑務所内に真の精神疾患患者がいくところもなく大部分存在する(注.筆者の国の事情だと思うと責任回避)。

DSMー5は、職業、大衆に着眼点を持たず、十分な科学的サポートなしをかえようする責務を欠き、臨床的常識にも反している。リスク・ベネフィット比や経済的コストに対する配慮なし。

DSM-5作成過程は秘密、クローズド、非組織的。デッドラインの合致もなく、フィールドトライアルは歴史的スタンダードと合致しない信頼結果を生み出した。
アメリカ精神医学協会(APA)の経済的利益相反、DSM出版利益で経費補填される必要のため、不十分な検証のまま、そして十分な編集のないまま、出版されているとは思わないと信じたい。
APAは、50を超える精神科学関連団体の、DSM-5に対する独立した審査機関の科学的レビューを拒否。出版利益が、公共の利益を上回ったDSMー5ということになる。





 『電話恐怖症』などという病名創作をネットでみうけた。DSM-5の問題と比べると矮小な問題かもしれないが、出版利益を狙って、『○○病』というのを恣意的にはやらそうとするメディアは、後を絶たない。一方的な『新作病名』は様々な弊害を生む。
なかには国立の病院でさえ、『メディア依存』などと・・・
 DSM-5: どのようになるか? セックス・ネット依存などは認めず、分類不能も排除の方向など 2012/05/11

 『新作病名』病に関する規制もぜひ検討してほしい


 ・・・と同時に、製薬会社の宣伝やミスリードに盲目的にならないスタンスが医師にも求められる。DSM-5ってほんとは科学的エビデンスの乏しい合議的内容ということを知らしむべき。
 医師たちが作る薬物依存 ・・・ 依存症原因の2位に H25/02/22



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