2012年4月13日金曜日

次世代米国医師たちの悩み・・・オバマ医療制度改革への不安・不満、医学生増加

40最以下の医師たちの57%が、米国医療システムのに対し将来に対して悲観的に考えている。
Next Generation Physician Survey
the Physicians Foundation
http://www.physiciansfoundation.org/FoundationReportDetails.aspx?id=360

500の回答者で、1/3(31%)は“かなり悲観的”と答え、26%が“やや悲観的”と、わずか4%が“かなり楽観的”と考え値得る。

1/3(34%)が、 "new healthcare law/regulations"が主理由のようで、“制度の混乱”、“政府介入”、“メディケア混乱、さらに悪化”と オバマが進める医療保険法( Affordable Care Act )への危惧を表明している。1/4程度は、正の効果を期待しているが、negativismの意思表明で、悪いはずがないという楽観主義者の中に多い。

なにが影響すると考えているかという、”収入/キャッシュフロー”(65%)、雇用(53%)、家族の生活(46%)、他医師(36%)と答えている。

 半数がプライマリケア医、35%がオフィス開業医、15%が病院勤務専門医という比率


  若い米国医師たちは現行の米国医療制度に80%が満足しており、58%がグループでの雇われ、2-6のグループからなるのが多数。


 この世代の医師たちは大量医学生への危機を感じ、将来への悲観的観測を促進しているようだ。

Medical Market Researchの2011年12月実施アンケート
 http://www.medpagetoday.com/PublicHealthPolicy/GeneralProfessionalIssues/32160


おおざっぱすぎるが、米国医師たちは“皆保険制度”への方向を恐れ、日本の医師たちは“皆保険制度崩壊”を恐れる。

共通点は、“制度変更への不安”  



米国では、具体的には、制度変更に伴い、“経済的状況の変化と、雇用状勢の変化、医師間の関係変化”などを恐れる。

日本でも、自らが経済的リスクをさらして事業を行っている病院経営者・開業医が制度変化に敏感であろう。開業医にとって、開業医という仕組みが崩壊することへの不安、そして、医療事業家による系列化やチェーン化への不安がある。客観的評価の高い技能・技倆を有する人たちにとっては経済的メリットになることが多いだろう。一般の勤務医にとっては・・・様々。


政治家や為政者達は医師たちの生活面なんぞ二の次。医者達にとって、制度変更ってのは必ず不安を伴う。




どちらの国の医師たちも、楽観的スタンスをとり、制度改革に能動的に参画した方がメリットは大きいとおもうのだけど・・・ 

日本医師会が、“めざせ、皆保険制度撤廃!”、 “広域医療法人チェーン展開を進めろ!”、“株式会社医療算入しろ!”、“医療の公益法人 撤廃!”、“TPP促進”とか言い出すことってないのだろうか?  事業している開業医や経営者には、決してデメリットだけではない。高血圧患者に“真のエビデンス(ランダム化トライアル)のない”特保を売り込み、膝痛の患者に原価ほぼただに近い“ヒアルロン酸”などの製品を勧めることの出来る混合診療・・・ 医師としての良心を捨てればいくらでも金稼ぎが出来る夢のような世界。

・・・以上、皮肉ですよ、皮肉。

“皆保険制度崩壊”で一番弊害を被るのは、一般の人だし、地方(vs 都市部)だし、低所得層(vs 高所得層)だし、かれらが本来は騒ぐべきなのに・・・

医師会が反対するから “業界利益誘導”とメディアや政府からミスリードされる・・・

そういう側面は、もうちょっと周知されるべきだろうが、“医師会=地上最強の悪の集団”という刷り込みができあがってるようで、まぁ この集団の言い分は聞く耳持たれない。
まともなことを主張しても、「また、医師会が変なこと言ってる、金儲けの材料でも探してるんだろう」くらいしか思われない。日本医師会って、末端会員にとっては、力もない癖に、上層部だけはその組織にへんなプライドを持ち、強情で、そのくせ、“男性更年期”特集のように流行りものに弱く、アカデミックでない。“悪の最強集団”ならそれらしく、ストライキでもやれば良いのに、アカデミズムが中心じゃないものだから、政権により方針がころころ変わり、内部の人心がまとまらない。

2 件のコメント:

  1. 日米の医師会が逆方向の結論を出すのも、論理的には整合的です。

    米国の医師は世界最高水準の所得なので、皆保険の導入にともなって世界水準に引き下げられることが見込まれます。今は金持ち相手だけど、将来は国民相手になるので、平均所得は下がるはずです。ただし医師が増えるので、国民にとっては有益です。

    日本はすでに皆保険なので医師がたくさんいます。ここで皆保険がなくなると、医師が多いまま需要が縮小するので、金持ち相手の商売というわけにも行かず、食いっぱぐれる人が続出します。

    医師の所得水準は米国が世界一で、日本はそれほどでもなくても世界トップクラス。このような高所得が現実にあるので、その既得権を失いたくないという心配は当然でしょう。

    参考データ
    http://unkar.org/r/hosp/1226750079
    ※ 現時点ではこのときよりもはるかに円高になっています。

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  2. 参考データって、“中小企業のおやじの事業所得”と“会社員の個人所得”を比較したあれですね。このデータ抽出法かなり問題があったやつですね。前者のデータは、医療法人の事業所得データだったはず。厚労省の恣意的データだったはず。
    あと、皆保険制度だから、たくさんの入院者数や、たくさんの外来数を無理してこなしている日本という見方も出来るような・・・

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