2012年2月3日金曜日

(非特異的)腰痛


腰痛、肩こり・頚部痛・・・あたりが なんだか矛盾に充ち満ちた診療一般風景がある ・・・ 疾患群



 非特異的腰痛
Non-specific low back pain
The Lancet, Volume 379, Issue 9814, Pages 482 - 491, 4 February 2012


腰痛の生涯頻度は84%で、慢性腰痛は約23%、腰痛によりdisabilityを訴えるひとは11-12%。
重いものを持ったり運んだりなどのmechanical factorが主な病的役割を持ってるわけではなく、遺伝的素因も重要。多くの治療作用のメカニズムも不明で、治療の効果程度も今一つ。
患者選択、臨床的エビデンスを疼痛管理上考慮しなければならない。
しかし、適切なサポートを有する一般的な自己マネージメントが推奨され、手術や過剰な治療は回避すべき。


除外すべき器質的疾患と、画像診断と一致しない腰痛・・・いつも問題になる。
 一般住民横断研究にて、腰椎椎間板の変性と腰痛の関連が報告されている。
たとえば、disc spaceの狭小化と腰痛のオッズ比は男性で 1.9 (95% CI 1.4—2.8) 。椎間板変性はそれより大きく (OR 2.18; 1.4—3.4)、ヘルニアの存在も大きい (OR 2.07; 1.4—3.1)( Spine (Phila Pa 1976) 2010; 35: 531-536.)。
しかし、MRI異常は無症状患者でもよく見られ、腰痛発症に一致しておらず、エビデンスに基づく治療の応答性も予測できない、systematic review with meta-analysisが示されている( Spine (Phila Pa 1976) 2011; 36: 160-169.)。
TNFαが前向き症例対照研究で明らかに成り、変性髄核からの神経増殖因子が疼痛伝達にかかる役割、サブスタンスPを誘導するなどの知見



メカニカル要素として原因的に考えられてきたが、 Bradford-Hill causation criteriaを用いた、8つのシステマティック・レビューにより、 職業的座位,(Spine J 2010; 10: 252-261.) 不自然な姿勢(awkward postures),(Spine J 2010; 10: 89-99.) 立位・歩行,(Spine J 2010; 10: 262-272) 手作業・患者補助,(Spine J 2010; 10: 639-651.) 押したり・引いたり,(Spine J 2010; 10: 544-553.) 曲げたり・ひねったり(bending and twisting),(Spine J 2010; 10: 76-88. ) リフティング,(Spine J 2010; 10: 554-566.) or 運んだり(Spine J 2010; 10: 628-638.) は職業者腰痛の原因として独立した原因に関して否定的。

肥満・過体重との関係、disuseやphysical deconditioningが慢性腰痛と関連。ただ、原因的、後遺症的であるかはエビデンス乏しい。喫煙状態、不安・気分障害の関連も示唆するが、同様。

heriabilityに関しては30%から46%(Pain 2007; 131: 272-280)。椎間板狭窄に関しては1/4。

運動との関係はU字型で、非線形。

急性腰痛から慢性腰痛への移行は10-15%、多くの時間と医療リソースを消費しても改善するとは限らず難儀な問題。労務可能性と関連する。


予防的には、 運動介入のみ有効性あきらか。他の介入、ストレスマネージメント、靴のなんたら、バックサポート、エルゴノミクス、背部姿勢教室、抱え上げ軽減教育などは有効性少ない(インチキ指導の多いこと!)。

評価としては、多くのガイドラインでRed Flag の重要性は一致してるが、意外と有効性評価研究少ない。

ベーシックなメソッドは、病歴、身体所見をとること。
咳き込み、 くしゃみ、まっすぐなること、positive straight leg raisingでの疼痛増悪はMRIでの神経根圧迫所見を示唆する。

腰椎椎間板狭窄の手術治療を追い求める多くの患者でも、理学所見上の所見がなく、歩行時疼痛などの主観的症状だけの場合がある。また、下肢が主、腰部が主な場合など鑑別困難なケースがある。

腰椎骨折は女性、70歳超、外傷からの継続、ステロイドの使用が関連。

強直性脊椎炎の師団にlubar mobility測定は重要で、Schober testがよく用いられる( modified-modified Schober test は比較的validityあり (r 0·67; 95% CI 0·44—0·84)、再現性に優れる; minimum detectable change (measurement error) of 1 cm)。

MRIやCTなど画像診断上の取り扱い。 red flagの無い場合6ヶ月内再検査で重大な診断所見は得られることはない。



急性の腰痛では、多くのガイドラインでは、自信回復(reassurance)、そのまま安静にすることなく、教育、パラセタモール、NSIDS、spiral manipulation、二次選択として筋弛緩薬、症例として選択的に弱いオピオイド。
局所的な薬物治療・表面的温熱療法は一部のガイドラインに限られ、全身ステロイド投与は推奨されない。治療の有無にかかわらず、症状改善かわらないという知見もある。

慢性腰痛の場合は、問題に関する教育、活動性維持の助言、NSAIDS、短期使用のオピオイド、運動療法、spiral manipulationが多くのガイドラインで推奨。
自己管理戦略、健康増進運動、自己モニタリング、意思決定などが、腰痛管理の重要な推奨。
二番目は、多領域的リハビリテーション、補助的鎮痛、認知行動療法、より強力なオピオイド。
抗うつ薬は二次治療として認めるガイドラインあり。ただ、副作用リスクも強調されているガイドラインもある。
椎間板内 electrothermal therapy、経皮的 intradiscal radiofrequency thermocoagulation、 radiofrequency facet joint denervationは一般には推奨されず

プライマリ・ケアレベルではgroup cognitive behavioral interventionが持続的に亜急性・慢性の腰痛にとってコストがかからない。

アウトカムと効果程度の問題。

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